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「まつろわぬ民」――権力にあらがい迎合しない民――大和朝廷から“蝦夷”と呼ばれ、その権力を拡大しようとする朝廷に従うことをよしとせず抗った人たち。しかしそれは権力側から見た呼称であって、人々は単に自分達の家族や生活を守り、豊かに暮らすことを願い、それを奪おうとする者に対して、その手に“抵抗”という松明の火を掲げ抗っただけではないか。
ならばわたしたちの誰しもが、いつ「まつろわぬ民」と呼ばれる日がきても不思議はないし現にその人々は数多いる。ひとりひとりの中に、あの松明が、その種火が残されている。もし消されてしまった人がいるならば、この火で再び灯しにいこう。人のこころにいつまでも火よ灯れ。暗闇に沈んだ町に再び灯よ灯れ。
ひとつ、ふたつ、三つ四つ、十百千万、人の営みの数だけ、まつろわぬ火よ灯れ。
まつろわぬ火よ灯れ!
風煉ダンス主宰 林周一(作・演出)
演劇集団 風煉ダンス
座長の笠原真志と現主宰で座付き作者の林周一によって 1990年に結成。圧倒的な舞台美術と祝祭性の強い空間 表現を特徴とする演劇集団。叙情性とバカバカしさがほとばしる荒唐無稽なストーリーの背後には、現代社会への静 かな問いかけがある。近年は、東日本大震災と福島第一 原発事故に想を得て「レーニン伯父さん」(2013)、「まつ ろわぬ民」(2014) 、野外劇「泥リア」(2015)、野外劇「スカラベ」(2016)を発表。野外でのパフォーマンスや、現 代美術家・ミュージシャンとのコラボレーションも盛んに 行っている。現在は、たちかわ創造舎(東京都立川市)を 拠点に活動中。
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