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「スカラベ」という世界 「風煉ダンス」という模様 

渋さ知らズ主宰 不破大輔

ふた昔前、南の街の聖なる空に

突然出現した蜃気楼に浮かぶ幻をみた。

内容は凄すぎて忘れようにも

覚えていないのだがもの凄かったことだけは

今も脳裏に焼き付いている。

 

俺がすっかり忘れてしまっているのに

作者がその内容を覚えているとは到底思えない、

彼との永い付き合いの結論であるが

海を眺めるようにまき戻して糸を紡いでみよう。

 

林周一の物語は静寂のなかからラッパの

響きと共に聴こえてきた。

 

鄙びた月の昼下がり暗い月の裏側で

見上げるとそこにはプラネットナインからの

一筋の光に照らされて一匹のスカラベが地面を転がしている。

 

降りそそぐ 陽のあかり

あれはなん年前、止める貴方 月に残し

動き始めた船に ひとりとび乗った

 

いつの時からか地球に接近しはじめた月、

月世界に取り残されたスカラベは

太陽神ケプリとして生まれ変わったのだ。

何の為に一心不乱に月を転がし地球に舵を向けているのか、

ケプリへと転生したスカラベ。

 

いつものように幕があき、

しかし、二度と出現しないであろう

異次元を私たちは目撃する事になる

 

相当の決意をもって

この野外芝居に臨まなくては

この身は煉獄の中に

解き放たれてしまうであろう事は

火をみるより明らかである。

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